スプリングス

わんぱく王子の大蛇(おろち)退治のスプリングスのレビュー・感想・評価

3.8
スサノオ王子の暴君っぷりが最高でした。
主人公の設定が癇癪持ちの子供なので最初からガキ大将的描かれ方をされていましたが、氷の扉を歩き通るだけで壊すシーンは威風堂々とし過ぎていて笑ってしまいました。タイトルの『わんぱく王子』ってのは控えめ過ぎる表現かと思います。もっとこう、破天荒とか、破壊神とか、ジェノサイドとか、そんな言葉の方が似合う。
作品のテンポというか、そういったところから海外アニメっぽさを感じました。影響は絶対受けてるけど、色濃い気がします。特にウサギのお供のコミカルさが海外アニメっぽさを加速させていました。
思ったのですが、水や火の表現上手すぎませんか?
手書きの威力・魅力が存分に発揮されていて感動してしまいました。滑らか。躍動的。すごい。
人物に関してはどのキャラクターも立っていて観やすかったです。子供でも覚えやすい、親切設計。
物語としては場所ごとに違うエピソードがあるのでオムニバス色が強いかなと。集中力が切れやすい子供達への配慮か、見せ場と休憩時間が交互に挟まれている印象がありました。
印象に残ったエピソードとしては最後のヤマタノオロチ戦ですね。デフォルメされて可愛くなってる空飛ぶ馬とは対照的に、ヤマタノオロチがただただおどろおどろしくて残っています。あと、ウサギと火の国のお供のコミカルさを間に的確に挟むのでアクションで中だるみしないところも好印象。
ヤマタノオロチの登場の仕方に既視感を覚えると思ったら最近観た『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』でのキングギドラ登場シーンがリンクして見えていたみたいです。首をひとつずつもたげる所とか、全体が現れてからの引きの画だとか、マイケル・ドハティはこの作品を意識したのかと疑ってしまうほど。
日本映画でのキングギドラの魅せ方が今作を取り入れて、そのDNAが海外版でも受け継がれたのかもしれません。キングギドラ初登場の『三大怪獣 地球最大の決戦』が1964年の作品で、今作『わんぱく王子の大蛇退治』が1963年の作品なので割とあり得る話なのかも。
あとまだ触れていないところで言えば、キャラクターデザインが可愛らしい点。全体的に丸っこくって好き。でも氷の国に住人や火の神は角ばってたりして、カートゥーンネットワークで流れてるアニメに馴染みそう。
面白かったです。また観たい。