滝和也

ハンターの滝和也のレビュー・感想・評価

ハンター(1980年製作の映画)
3.6
現代に蘇る、
バウンティ・ハンター。
演ずるは、
スティーブ・マックイーン
にして、彼の遺作。

「ハンター」

アメリカの法により、認められた賞金稼ぎ、現実に存在した、ラルフ・ソーソンの物語です。愛称はパパ。演ずるは我らがマック。MA-1にリーバイスのスタイルで逃亡した保釈犯をどこまでも追い詰める。だが嘗て捕まえたヤク中が身重の妻と彼を狙い…。

マックイーンの遺作であり、1980年に作られた作品。そのため、徹底してハードだった70年代の作品と比べ、ハートフルな部分やユーモラスなシーンも多く、肩肘張らずに見れる作品になっています。例えば主人公ラルフが運転がド下手で、アクションシーンに絡めユーモアがあったり。

ただユーモアがあるとは言え、アクションシーンに関しては手を抜かず、生身の激しいアクションがやはり見どころでしょう。先ずは爆弾兄弟とのトウモロコシ畑でのトランザムとトラクターでの追走劇。そして別の犯人とのシカゴでの大追跡。列車の屋根でのアクション(一部スタントダブルですが。)から立体駐車場でのカーアクションと見せ場が多く楽しめます。この辺りは70年代の匂いをまだ感じさせますね。フレンチコネクションとか(^^)

賞金稼ぎの日常を追った様な形をとっているので、脚本は散漫で、サスペンスの縦軸になるかと思われたヤク中は途中空気になりますし、その部分より妊娠中の恋人とのドラマの方がメインです。でもアクションのため、他の犯人を追うシークエンスが差し込まれていくので、それも比較的薄めです(笑)

それでも我らのマックイーンのカッコ良さは変わらない(^^) ユーモアとカッコ良さを兼ね備えた愛すべきキャラクターです。今ならステイサムの作品に通ずるのかな。シリーズになりそうな感じではあるんですが…残念です…。

70年代のハードさにユーモアを加え、よりハートフルになっていった80年代作品への過渡期を感じさせる興味深い作品でした。※甘くなってくとも言えますが(^^)

因みに多分これ、父親に連れられ劇場で見た作品です。確か何かと併映だった気がします…。
滝和也

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