せーじ

パプリカのせーじのレビュー・感想・評価

パプリカ(2006年製作の映画)
4.4
125本目。2019年最初のMarkは、今敏監督の遺作となったこの作品を。

いや…凄かった。
文字通り「夢にでも出てきそうな」イメージの洪水に、まんまと溺れてしまった。
それでいてキッチュでエロくてサスペンスフルだし、ウイットが程よく利いていて、全体的にはコンパクトなのにこってりとしたカロリーの高い重~い作品で、つくづく寝る前に観なくて良かったと思った。

とはいえ、物語の筋自体はそこまで複雑ではなく、わかりやすい二本の筋が真っ直ぐに引かれていて、本筋の「マクガフィン探し」をメインに、裏の「トラウマとの対峙と克服」を絡めながらとても手際よく物語を展開しているように感じた。だったら何がそんなに重いのかと言うと、そのなかで物語上の「リアル」と「夢」の世界とを映像的に完全に一体化しようと試みていて、最終的に同じレイヤー上に同居させてしまっているところなのではないだろうかと思った。その"全部"が揃っている感じというか、なにもかもがある感じが、不気味で過剰で食べ過ぎたような感覚を覚える理由なのだろうと思う。
その一方で、そういう「夢」に溺れることを良しとするのではなく、かと言って「夢」を見なかったことにしろと言うのでもなく、現実と共にしっかりと向き合い、たとえ「夢」が叶えられなくとも、共に抱き続け、大切にするべきだという結論で物語を結んでいたので、とても真っ当な作品だと感じたし、今観ても褪せない完成度がある作品だと感じました。

残念なのは、オチのつけ方がちょっとわかりづらく、そこで損をしているのではないかな…という所くらいでしょうか。
「東京ゴッドファーザーズ」同様、作画はとんでもないクオリティなので見応えがありますし、その中を二面性のあるミステリアスでエロティックなヒロインが縦横無尽に駆け巡るというお話なので、そういう意味でも魅力的な作品になっていると思います。
なによりコンパクトな作品なので、手軽に観ることが出来ますし、観た後は映画評やインタビューを検索しながら思索に耽ることができるという、奥行きが深い作品になっていると思います。
ただ、眠る前に観るのは、ちょっとおすすめできないかもしれないですがw
ぜひぜひ。