高楊枝

パプリカの高楊枝のレビュー・感想・評価

パプリカ(2006年製作の映画)
4.6
本作の魅力は、と聞かれると答えに困っていた。
この場で、少し自分なりに整理したい。

夢の世界を描くことは、あらゆる人が試みているが、本作もその一つ。

夢ならではの不条理な世界。それが現実にも影響を及ぼし、境目が見えなくなる様は、まさしく夢を見させられているよう。
サスペンス的な要素はありつつも、本作の主な楽しみはそこにある。

その重要な夢のシーンだが、圧倒的な作画で表現されており、圧巻。
アニメの語源はアニミズムという、万物に魂が宿る的な意味から来ており、そんなものを彷彿とさせる。

さらにそこに入ってくる平沢進の音楽。
これによって他に類をみない映像体験に昇華しているように思える。

そして夢から覚めた時の、長いトンネルから抜けた後のような爽やかさは中々他では味わえない。
本監督ならではの気持ち良さがそこにある。

時折見たくなるのは、90分を通じてその気持ち良さを体感したくなるからかもしれません。



監督の夢半ばの作品「夢みる機械」を今も待っています。

「続きはどうするんだよ」
高楊枝

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