シマすけ

パプリカのシマすけのレビュー・感想・評価

パプリカ(2006年製作の映画)
4.3
オセアニアへの風評被害


初見だと間違い無く「なんだこれ!?」と思うのでは。
悪夢を実体化したような有象無象が蠢くパレード、夢に囚われた人間の支離滅裂なセリフ、現実世界に逆流した夢が全てを呑み込んでゆく様子など、何食ってたらこんなイメージが浮かぶのか不思議で仕方がありませんでした。

悪夢を流し込まれた所長が発狂するお代官様なシーン。そのシーンだけ見ると「何言ってんだコイツww」で終わるのですが、本編を通すと一気に困惑と狂気に満ちた展開に変貌。先程まで正常だった人間が狂人になった時の絶望感たるや。
この支離滅裂な演説、文法は合っているのに名詞がめちゃくちゃな構成をしており、全体で見ると意味がまるで通じないという代物。本人が確信を持って口走っているそんな様子は、さながら、寝ぼけながら問い詰める人間そのもの。


そんな頭やられそうな場面が多い本作ですが、「夢を悪用しようとする黒幕を、夢探偵パプリカが阻止する」という実はとても単純な物語。これに加えてトラウマ克服セラピーの要素も入っています。なので無理に理解しようとせず、世界観や雰囲気に身を委ねながらストーリーを追いかけるのが正しい楽しみ方かもしれません。
そんな私は挿入歌「パレード」「白虎野の娘」で一気に平沢進の沼に入った馬の骨。
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