タケオ

リトルショップ・オブ・ホラーズのタケオのレビュー・感想・評価

3.8
「B級映画の帝王」ことロジャー•コーマンが、約12000ドルの予算を元に2日の撮影期間で制作したホラー映画『リトル•ショップ•オブ•ホラーズ』(60年)。この作品を気に入った作詞家のハワード•アッシュマンと作曲家のアラン•メンケルは2人でコンビを組み、82年に本作をオフ•ブロードウェイでミュージカル化。後に『美女と野獣』(91年)や『アラジン』(92年)などの楽曲を担当することとなる天才2人が手がけたということもあり、結果的に『リトル•ショップ•オブ•ホラーズ』のミュージカルは世界中で数々の賞を受賞、当時のオフ•ブロードウェイとしては最高レベルの興行収入を記録した。ちなみに2人がディズニー作品を手がけることになったのは、このミュージカルでの成功がキッカケである。気弱な主人公が食人植物にジリジリと追い詰められてられていき、次第に殺人にまで手を染めていくという本作のストーリーはどこか『冷たい熱帯魚』(10年)を彷彿とさせるが、60年版のように主人公が悲劇的な結末を迎えることはない。何故なら、本作はハワード•アッシュマンとアラン•メンケルによるミュージカル版のリメイクという位置づけだからだ。どこまでも明るく、パワフルで、底抜けに楽しい至福の94分にはひたすら興奮するばかり。時にその陽気さが度を越してしまい、結末に至ってはとうとう倫理的に問題のある領域にまで到達している気もするが、リック•モラニスやエレン•グリーンをはじめとした個性的なキャスト、『スターウォーズ』のヨーダや『ダーククリスタル』(82年)の監督として知られるパペット界の巨匠フランク•オズによる見事なVFXは必見である。
タケオ

タケオ