持て余す

ねらわれた学園の持て余すのレビュー・感想・評価

ねらわれた学園(1981年製作の映画)
2.4
眉村卓ってもう亡くなっていたのね。

ある程度以上の世代からすれば超のつく有名作家なのだと思うけど、今はどうだろう。日本のSF作家と言えば星新一、小松左京、筒井康隆あたりが世代を問わず群を抜いて有名で、現状眉村卓は国民的SF作家という感じではないのかもしれない。他にも国産の有名なSF作家はいるけれど、巨匠の3人を除くと全体にややマイナーな印象。

ただ、この「ねらわれた学園」は眉村卓が人気作家だった頃に作られたのだろうし、トップアイドル薬師丸ひろ子の主演ということもあって、当時はかなりの話題だったのだと思う。監督も大林宣彦だし、主題歌も松任谷由実の書き下ろしだし、角川の本気度が伝わってくる。

──のだけれど、この映画は控えめに言ってもカルト映画。学園ドラマとして一般的な滑り出しから転げ落ちるようにヘンテコなところへ連れて行かれる。知らなかったので、口をポカンとしつつ鑑賞。

少年の交通事故を未然に防いだあたりから、超能力者同士の暗闘が描かれるのかと思いきや、なんだか得体の知れない峯岸徹が登場したり、得体の知れない転校生がきて学校が乗っ取られたりして、なんとも散らかった印象。

また、40年近くも前の作品なので、登場人物たちの話し方がいちいち古臭いというか芝居臭い。当時はああした演出が当たり前だったのだろうけど、真面目なシーンでもコントっぽく感じてしまう。家柄がいいという設定ではあるのだろうけど、家に帰ると和服に着替える女子高生というのも、その親世代ならともかく違和感しかない。それともまだまだ若い和服派がそれなりの数で現存してたのだろうか。

クライマックスの超能力合戦のエフェクトは、当時としてもどうだったのだろう。笑いながら「なんだこりゃ」とつっこんだりしつつ見る分には十分だけど、正直なところ真面目な鑑賞に耐える感じには見えなかった。

いまの技術で、いまの演出で、シリアスな感じでやったらちゃんと楽しめる素材なのだと思うのだけど、大林監督のこの作についてはキワモノでしかないと感じました。

ただ、手塚眞のあの演技はある意味ではリアルだったと思う。あんな人いるよ。
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