前作『羊たちの沈黙』でも圧倒的な存在感を見せたハンニバル・レクターを主役に据えた続編。
10年空けて監督も変わったせいか精神分析的なアプローチがかなり目立ち全体的に芸術的な趣すらあった作風の前作と比べて本作はやや泥臭い犯罪モノ、強調されたミステリー性や猟奇表現が印象的でどちらもとても素晴らしいが個人的には気が滅入るような重苦しさが増加したこちらの方がより気に入った。
前作の主人公クラリスを演じるのがジョディ・フォスターからジュリアン・ムーアに変更されており、やや批判されているようだが個人的には大好きな名女優なのでむしろ好印象。
…ただあれから10年でコレにはならんよなってくらい雰囲気は違ってしまっているのは否定しない(笑)
不敵に笑い神出鬼没で誰も止められないハンニバルはあまりにも怖すぎるが同時に妙なカリスマ性があってとてもいい。
前作でも感じたが演じるアンソニー・ホプキンスの表情とあの素晴らしい声がハンニバルという恐ろしいシリアルサイコキラーを不思議と魅力的な人物にしていると改めて思った。本当にすごい俳優さんだ。
実は今回初見で超有名作品なのに想像以上のグロさでちょっとびっくりしたがとても素晴らしい上質な作品だった。
時折ホラー然とした曲も使われるが全体的にクラシカルで美しい旋律を強調したハンス・ジマーのスコアも最高に素晴らしい。
彼の手がける作品は後年確立するパーカッションとオーケストラとシンセを叩きつけるあのスタイルこそ至高だと常々思っているが美しい本作のサントラは今後も聴き続けるだろう。いい作品に出会えた。
コレ観た後はイタリア人じゃないのにTa ta〜って言いたくなる(笑)