Narumi

ハンニバルのNarumiのレビュー・感想・評価

ハンニバル(2001年製作の映画)
3.8
前作より、推理が少なめで猟奇性を推している。私はもうちょっと頭脳戦や推理を見たかった…

ただ、知己に富み高いこだわりを持つレクター博士の“上質さ”、“品”、“美学を伴う猟奇性”を余すことなく描いていてそこがかなり好きだった。
背景には積極的にオペラやクラシック音楽などが流れ、映像も聖堂や大邸宅や食事風景などかなり優雅で美しいと感じた。

レクター博士は食にも精通しており、脳の1部を切り取りフライパンの上で焼く異常な姿すらもさながら三ツ星シェフのように様になる。
全編通し、表情や立ち振る舞いから垣間見せる異常性のさじ加減が程よく、あくまで紳士の皮を被っているアンソニー・ホプキンスの上品な振る舞いが素晴らしい。

だが、レクター博士とクラリスの関係を恋愛的に断定してしまうような展開で萎えた…

2人は共通して自らの正義と美学に従い行動する。それを多くの人は疎ましく思うのだ。自己保身や出世、金、欲望に目がくらみ、死への恐怖に負ける自分を嫌でも実感させられるから。
結局のところ、クラリスを理解出来る者はレクター博士は以外におらず、レクター博士に太刀打ち出来る者もクラリス以外にいなかった。

そんな複合的な感情(亡くした妹や父に重ねたり、互いへの強い理解や敬意、好意)、強い執着、共依存関係を窮屈なものに断定しないで欲しい…
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