てるる

対馬丸-さよなら沖縄-のてるるのレビュー・感想・評価

対馬丸-さよなら沖縄-(1982年製作の映画)
4.2
沖縄では慰霊の日や終戦記念日あたりになると、TVの地上波はもちろん、公民館などに子供を集めて戦争に関するアニメや映画などを上映してました。

なかでも「かんからさんしん」「白旗の少女」、そしてこの「対馬丸」は強く記憶に残ってます。

1944年8月21日。
疎開船として子供たち約800名近くを含む約1700人が乗船し、沖縄から長崎へ向けて出航。

そして迎えた8月22日深夜。
米軍潜水艦ボーフィンより発射された魚雷が対馬丸に命中。
わずか10分程度で沈没。

この沈没で多くの子供たちが亡くなったが、船から逃れて助かった者の多くも接近する台風の高波や、漂流中に死亡。
子供たちは700人以上が助からなかった。

このアニメ映画は、疎開を楽しみにする子供たちや、心配する親や渋る年寄りなど、疎開前の様々な家庭を描く。

それでも乗船から魚雷命中までは割と明るい雰囲気。
そこから急激に子供にとってはトラウマレベルの惨劇に。

沈みゆく船で、甲板で、海上であっという間に死んでいく子供たちを淡々と映し出す。
ヒロイズムも何も無い、本当にただただ死んでいく姿は子供心には衝撃だった。

筏に乗ることが出来た人々も、飢えや寒さ、そしてサメの餌食になるなど、やはり次々と命を落としていく。

何とか生き残った後も脅され、十・十空襲に遭うなど悲惨すぎるよ。

大人でも疎開を勧めたことを後悔する者もいれば、絞り出すように間違って無かったという者もいて。

唯一、多くの死を目の当たりにしつつ生き残った少女の気丈さだけが救いだった。

亡くなった子供たちの名前が次々と流れるエンドロールも痛ましい。

夏休み、ジブリやディズニー、ヒロアカやしんちゃんもいいけど、こういうアニメも子供たちに観せるべきだと思う。
てるる

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