困ったちゃん

裸のキッスの困ったちゃんのレビュー・感想・評価

裸のキッス(1964年製作の映画)
4.0
サミュエル・フラー暫定1位更新。

何があったんだろうかと、いきなりわし掴みにされるただごとではない冒頭が印象的。相当な負のエネルギーを抱えた女は、2年後再起を誓い凛々しさを纏った姿で新天地に辿り着く。

辿り着いた街の建物には、前作「shock corridor」の文字が。ちなみにその「shock corridor」の作中には、初期の作品「東京暗黒街・竹の家」のシーンがフラッシュバックで登場する。過去作も作品の一部にしてしまうフラーの拘りがうかがえる。

冒頭の女の姿からは想像できない、かなりの教養と慈悲深い心、芯の強さを見るにつけ、娼婦にならざるを得なかった背景が気にかかる。掴みかけた幸せは音をたてて壊れ、またも周りの人間の恐ろしさに直面するのは、運命なのか偶然なのか。生きることの難しさを示されたよう…

”裸のキッス“の意味に背筋が凍りついた。
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