ろ

ハーヴェイのろのレビュー・感想・評価

ハーヴェイ(1950年製作の映画)
5.0

「僕はまだ自分がどこにいたいのか分からないんです。でも僕は誰とどこにいようと、いつもとても楽しいんですよ」

名刺を渡しながら自己紹介をしたあと、決まってご飯に誘う。
馴染みのバーに顔を出すのが日課で、ハーヴェイとおしゃべりしながらいつもの道を散歩する・・・
彼の周りでどれだけ波が荒立とうが、エルウッドははじめからおわりまでさざ波のままだ。

彼には一体何が見えているの?誰と話しているの?と不審がって寄り付かなくなる人。
同じものが見えているのにその存在を受け入れたくない人、戸惑いながら憧れる人。
そのものの姿が見えなくても、調子はどうだいと話しかける人。
心優しいエルウッドをありのまま受け止める人。
宙に向かって語りかけるエルウッドを遠くから見守る。ただ見守るにしても温かな眼差しもあれば、冷たく見下すような視線もある。彼と関わるにしてもどうにか改善したい、治したいと躍起になる人もいれば、別に今のままでいいんじゃないのという人もいる。
エルウッドはどんな変化も言葉も、さらりとかわしたり受け止めたりしながら、自分のペースでマティーニを嗜む。

特別なことなんて起きなくていい。劇的な変化を望まなくていい。
鳥がいなくてもその声に耳を傾ける。雨が降っていても陽の光を感じる。
そんな豊かささえあれば大丈夫と思えるラストだった。

「こちらは僕の友だち、ハーヴェイ。彼もあなたのことが好きみたいです」


( ..)φ

春のパン祭りならぬ、春のジェームズ・スチュアート祭り。
我が家の楽園、リバティ・バランスを射った男、そしてトリを飾るは「ハーヴェイ」。
ず~っと観たかった一本で取り寄せてみたのですが、どうも字幕に目が追いつかず内容がなかなか頭に入ってきませんでした。。(鑑賞中、置いてきぼりをくらって寂しくなった)
疲れてるときに観るのちょっともったいなかったな・・・と思いつつ、レビューを書いています。(「オリビアを聴きながら」をおともに)
また気分が持ち直しているときに観たいな。
ろ