浅野公喜

ハーヴェイの浅野公喜のレビュー・感想・評価

ハーヴェイ(1950年製作の映画)
4.0
ジェームズ・スチュアートが自分にしか見えないハーヴェイという名の大きなウサギと仲の良い男性を演じるファンタジーヒューマンドラマ。ジェームズ本人もお気に入りの役だとか。

他の人には見えやしないハーヴェイをあたかも存在しているが如く扱うジェームズ演じる主人公は家庭や社会からも浮いており(見方によってはホラー 笑)、療養所に連れて行かれます。ここで連れて行った姉が逆に入院してしまいそうになるのが笑えるのですが、主人公は会話にズレが有るものの常に紳士で誠実。そして誰とでも仲良くなり、観る側からすると「正しい」と思われた周りが逆におかしいように見えてくる不思議で、注射を打つ前と打たれた後の患者を知っている、療養所へ何度も患者を連れて行った事の有る終盤のタクシー運転手が重要人物となっており、世の中という歯車に合致する人間が本当に正しい人間なのか?という疑問を投げつけてくれます。

ハーヴェイはもしかしたら居るんじゃない?と思わせる演出も秀逸で、主人公は終始変わらないというある意味異色ですが、良い余韻が残る作品でした。
浅野公喜

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