びたみん

死の棘のびたみんのレビュー・感想・評価

死の棘(1990年製作の映画)
4.0
小栗康平監督作品。

独特のムードが魅力的な傑作だった。
「泥の河」より本作の方が好み。戦争や夫婦間の分断を、冷酷に描いていく。

濱口竜介にも影響を与えたのではないかと思わせる、棒読みの台詞。
棒読みだからこそ、そのセリフの異常さが際立つ。

夫婦2人どちらにも、感情移入を許さず、代わりばんこに癇癪や狂気を発露させる下りが延々と続く。やや辟易とさせられる部分もあるものの、とても面白い。

笑ってしまうような部分もありつつ、夫婦の切実な関係性を絶妙な筆致で捉えている。
岸部一徳、松坂慶子の演技が素晴らしい。
音楽もいいし、映像の質感も凄い。

小栗康平作品は今後も追っていきたい。
びたみん

びたみん