ヒロ

静かなる一頁のヒロのレビュー・感想・評価

静かなる一頁(1993年製作の映画)
4.3
ドストエフスキーが本棚で眠りに就いてから早四年、たまに目が合うが今じゃないと断り続けてたぶん今後も付き合うことがないかもしれない。読んでいない僕がいうのもなんだがソクーロフのことだから原作との接点なんかほぼほぼないと思われ、控えめに言って超難解だし度々永遠の眠りに誘われそうになるが、要所要所の超越カットで一気に脳内が覚醒する。今作は『孤独な声』と地続きにあるのかなと、罪を犯したからかなんなのか現世と幽界の狭間に閉じ込められ、生に這い上がるのか死に堕ちるのかそれを見守る無垢な天使。見えない人間たちの陽気な声が聞こえてくるかと思えば、半実半霊の同族たちが集団自殺するかの如く飛び込んでいく水中都市は地獄なのかはたまた、、、辛うじて肉体と精神の繋がった男の旅は獅子像の下で終焉を迎える。獅子の乳首に吸い付くという最も神秘的で恍惚なカットを残して。その後の彼を誰も知らない、知る由もない。見事な幕引き。

《ソクーロフを発見する》
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