ししまる

宣戦布告のししまるのレビュー・感想・評価

宣戦布告(2001年製作の映画)
3.3
石侍露堂監督による2001年の軍事サスペンス。北朝鮮が韓国へ潜水艦で侵入した「江陵浸透事件」をモデルとする麻生幾の同名小説を原作としている。敦賀半島沖で国籍不明の潜水艦が座礁し、武装した男たちが上陸。警察は特殊部隊SATで対処しようとするが、福井県警本部長が渋々認めた射殺許可命令を首相が取り消し、SATに犠牲者が出る。防衛庁長官、官房長官は自衛隊出動を主張するが、首相は消極的で、有事法制もないため防衛次官、外相は反対する。
首相役に古谷一行、首相秘書官役に杉本哲太、長老の総務庁長官役に財津一郎、内閣情報調査室長役に夏八木勲。
警察力の限界、有事法制の不備を描いた(本作では防衛次官が「できません」を繰り返す)作品だが、03年の武力攻撃事態対処関連3法成立以降、有事法制が整備され、現在とは状況が異なる。
20年前の作品なのでやや古さは否めず、陳腐なところもあるが、銀座ホステスを通じた情報漏洩とかいかにもありそうで、防衛庁制服組対背広組とか、それなりに楽しめる。
序盤の頼りない首相は現首相と重なるが、閣議で「後から『自分は反対だった』と夜回りの記者にささやくことは絶対許さんからな」とすごむシーンを見て、今の首相にはあり得ないなあと。内調は実際、あんなに優秀じゃあないでしょう。本作では北はミサイル発射を思いとどまるが、現実にはハイペースで発射。
官房長官役の佐藤慶、防衛庁長官役の石田太郎、北東人民共和国偵察局大佐役の夏木マリがはまっている。
防衛庁・自衛隊の撮影協力を得られず、迷彩服や装備の調達は大変だったという。冒頭、内調のシーンから始まるが、外観は国会記者会館。原作は北朝鮮の潜水艦だが、劇中は「北東人民共和国」(「北」と呼んでるし、朝鮮語しゃべってるが)。実在の政党名で描く原作に対し、本作は架空の政党名となっている。
✳️再観賞
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