故・淀川長治さんがある書物で本作について「シュトロハイムの『グリード』に似てる」と指摘していたが、たしかに類似点がチラホラある。
いや、むしろチャップリンの『黄金狂時代』にも近いと思うけど、この手のゴールドラッシュものは淀川さんの嗜好にピッタリと当てはまるのかねぇ…❓
監督はジョン・ヒューストン。彼は文芸路線の監督なので活劇を撮る印象は無いが、やはり本作といい『ゴングなき戦い』といい『Wise Blood』といい、どこか引っ掛かる異色作を撮る人だ。主演のハンフリー・ボガートを小馬鹿にしたような扱いで撮ってるスタンスを見ると、尚更気になる存在である。
この映画はどちらかと言うとブラック・コメディ色が濃く、ラストにしても「人間なんてこんなもんよ、ルラララ〜♫」とあっさり開き直った感じで強烈だが、特に脇役のウォルター・ヒューストンの飄々とした魅力ある演技がとてもとても良かったのです。😌
「所詮、人間なんてちっぽけな存在ヨ🤷♂️」と高を括る感じは少しスタンリー・キューブリックやコーエン兄弟作品等にも通じる。文学者であるヒューストンならではのスノッブ感覚が大変好ましいアドベンチャー映画の佳作。