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ハリー・ポッターと謎のプリンスのabeeのレビュー・感想・評価

3.0
【ホグワーツ選ばれし魔法使い育成教本 肆の章
〜師の死をもってその使命を全うせよ】

ついに佳境も佳境に差し掛かった第6弾。

ここまで来て、私は「ハリー・ポッター」というシリーズの楽しみ方を間違えていたかもしれないと気づく。
「スター・ウォーズ」を観るテンションで臨んでいましたが、ひょっとしたら「ミッション・インポッシブル」だったかもしれない…
そう、一話完結と考えて鑑賞するのが正しいような気がしてきました。

とはいえ、時既に遅し。ここまできたらもう展開は「スター・ウォーズ」ですから。では観ていきましょう。

ひとまず残念なのがこの邦題ですよね。
原題は「half- blood prince」。こっちの方が明らかにカッコいいです。
ただちゃんと調べてみると日本語に訳したとき、「腹違い、若しくは種違い」「混血」と訳を取り違えるとストーリーに影響してきそうな言葉が出てきました。
映画だけ観ていると確かにどちらの意味か分からないんですよね。次の巻でどっちに転んでもいいようにこのタイトルになったのかも知れませんが。個人的には「混血のプリンス」が1番禍々しくて良さそうな気がします。劇中でも使用されている「半純潔」という言葉は語呂が悪い気がします。

そして私が1番気にかけていたカリスマ的小物、ドラコ・マルフォイにいよいよスポットライトが当たるわけですが…いやぁ。
多分なんですけど、本当はもっと掘り下げないといけない部分ですよね、ここ。原作ではもう少しマルフォイの内面や父母との関わり、そこからのヴォルデモートとの関係というのが丁寧に描かれていたんじゃないのでしょうか?
あまりにもヴォルデモートのドラコに対する思惑が見えず雑な印象です。
それだけでなく、今までのシリーズで親の七光りのバカ息子、でかい口を叩く割に何かあったら我先に逃げ出す小物感しかなかったドラコが、今作急に大物ヅラしてるのでビックリですよね。
あ・そうか。実は中身がポリジュース薬を飲んだ父ちゃんなのかも知れない…と思いたいくらい急なキャラ変でわたくし、混乱気味です。

その要因としてはこれまでのシリーズで本当は描いておかなければならなかった部分を重要でないと判断し、削ぎ落としてしまったためなのでしょう。本来であれば今作で描かれていたようなドラコの野心家な部分があったにも関わらず、そこを無視してしまった。いじめっ子が痛い目見てるシーンの方がストーリー上面白いに決まってますからね。

ということで、ここであまりにも色々書きすぎると次から書くことが無くなりそうな、なんとなくそんな気がしています。
本筋に迫っているようで何故か中身が無い、どんでん返しの展開にも、言葉にも何故か重みが無い。
ただゴールに向かってとりあえずコマを進めている。そんな印象の作品でした。

そして、シリーズ中最長だった「秘密の部屋」ですら感じなかったのに異常に長く感じた今作。
最後の30分で3回ほど意識を失ってしまいました…
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