イチロヲ

薔薇と鞭のイチロヲのレビュー・感想・評価

薔薇と鞭(1975年製作の映画)
4.0
性生活の低迷を深刻に受け止めた女流写真家の夫人(二条朱実)が、モデルの奴隷少女(山科ゆり)を利用して、夫(井上博一)の異常性愛心理を刺激させていく。著作権切れのフランス文学をコピーしている、日活ロマンポルノ。

主人公夫人に隷属するマゾヒストの少女役を山科ゆりが好演。夫人には絶対服従するが、その他の人間には素気無い態度を取る。夫人が不在の状態で、夫が気を引こうとしても、夫人との主従関係が絶対的。そんな倒錯世界が、エレガントに描写される。

したり顔で我を貫き通す二条朱実、マゾ娘という物体Xに熱視線を送る井上博一、サイケスタイルで動物的セックスを求めてくる丘奈保美。すべての演者がベスト級の芝居を披露しており、ザ・ロマンポルノとも言うべき猟奇性愛ドラマが完成されている。

日活が「花と蛇」でSMドラマに本格参入してから、1年も満たないうちに製作されている意欲作。緊縛プレイを見世物にする谷ナオミ作品とは異なり、内面的アプローチを施しているところが大きな醍醐味。
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