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ドゥ・ザ・ライト・シングのtdswordsworksのレビュー・感想・評価

ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)
4.4
ブルックリンの黒人が多く暮らす地区でピザ屋を営むイタリア人親子と、そこでバイトしている黒人青年ムーキー(若きスパイク・リー監督が演じている!ファッションセンスがガチ)を中心とした群像劇。大抵のことが、そのピザ屋の半径50m以内の街角で起こる。
そんな物語の進行役をローカルFM局のDJに担わせるというアイデア(これが監督の趣味なのかノリなのかハイコンテクスト過ぎて掴めなかった)によって、視聴者を黒人カルチャーに対して温かい目で見守るポジションに誘いつつ、人種間対立に対する鋭い洞察から練られた主役・脇役たちのセリフでジワジワと緊張感を掻き立てていって、最後に暴発(哲学の問答のような、引いては寄せる波のような、リズミカルな応酬はとても洗練されている)させる、見事な脚本。
Do the right thing. 序盤に登場するこのセリフが、クライマックスの急展開で空転してしまったことに唖然とする。愛と闘争のどちらに価値があるか、なぜ僕ら人類は愛を選びきれないのだろうか。この映画が撮られたのは、ロス暴動の3年前、そして#BlackLivesMatterの30年前なのである。
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