柏エシディシ

ドゥ・ザ・ライト・シングの柏エシディシのレビュー・感想・評価

ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)
5.0
やっぱり、今観なければ。
と、みんな思ってる。
そしてやっぱり、何度観てもカッコイイ映画。
勿論、公開から30年経っても色褪せないどころか、ド真ん中に在り続けるスパイク・リーの渾身のメッセージこそ、今受け取るべき。
しかし、とびきりカラフルでエネルギッシュな映画として、抜群に面白い。
その映画的耐久性の高さ、娯楽性の高さを改めて思い知る。

ロージー・ペレス姐さんのバキバキにキマッてるダンス。
パブリック・エネミーの「Fight the power」
「サム」ジャクソンのラジオDJが"Wake up!"とがなりたてる。
一気にエネルギーが漲る最高のオープニング。
陽性のバイブスの中に緊張をはらみながらもどこか楽天的な前半の高揚感があるからこそ、後半の展開が効いてくる。
構成も編集も驚異的な完成度。
今やHIPHOPの影響無しにカルチャー全般を語る事は出来ないけれど、映画史のランドマークとして最初に名を刻んだ一本としても画期的だったと思う。
自分はNBAブームの煽りから後追いで「勉強」した立場だけれど、こんなのリアルタイムで観たら人生変わってしまうだろうなぁ、と。

卓越した映画が常にそうである様に、観る度に新しい発見があるのだけれど、スパイク・リーが、単なる黒人としての立場の一元的なプロテストではなく、あらゆる人種が等しく内在している差別意識そのものを射程に捉えた重層的な視点を持ち込んでいた事が改めて判る。
特に、暴力の在り方に関しては、観る側の立場の違いがあっても、其々が自身の考え方を顧みる事になる厚みがあり、やはり今時分に観る有効性が途轍もなくあった。
柏エシディシ

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