三隅監督の「ライゾウ、キル」
1962年大映作品、脚本新藤兼人、監督三隅研次。
某本邦画オールタイムベスト100の中にランクイン(至極納得)
冒頭クレジットまでの息を飲む所作、ショック。
市川雷蔵こと高倉信吾は、訳ありの身。
妹、父と暮らし、三年の旅に出る。
戻るとお偉方の前、剣の振る舞いを披露する場に彼は同席する。
そこから彼の「斬る」サダメが幕を開ける。
市川雷蔵様が
まあ美しい。
同性でも惚れます。
そして三隅監督の精緻な引きの緊張構図とアップの切り返し
変わる風景ショットの流れる映像時間。
せわしい殺陣は無く、どこまでも空間に漂う人と剣。
シンプルな物語。
昨今ドラマで今なおご活躍される藤村志保さんの素晴らしい静動。
渚まゆみの堂々の立ち姿!
三隅監督の絵構図、緊迫、ショット鮮烈。
斬り合いなのに血も飛び出ない、むしろ美意識さえ感じる素晴らしさ。
雷蔵様の生き様に静かに喉突かれる思い!
ギョウギョウしくなく、ゆっくりとした台詞まわし。
エレピな旋律。
これぞ大映71分の悲しい娯楽が劇中の剣のように、
藤村さんの劇中笑顔のように僕の心を切り裂いた。
追伸
妹とじゃれる可愛い雷蔵様のシーン、なんか重そうです(冷笑)大映の時代劇は冷めたくて大好きです。
2009年6月レビュー