どーもキューブ

斬るのどーもキューブのレビュー・感想・評価

斬る(1962年製作の映画)
4.0
三隅監督の「ライゾウ、キル」



1962年大映作品、脚本新藤兼人、監督三隅研次。

某本邦画オールタイムベスト100の中にランクイン(至極納得)

冒頭クレジットまでの息を飲む所作、ショック。

市川雷蔵こと高倉信吾は、訳ありの身。

妹、父と暮らし、三年の旅に出る。

戻るとお偉方の前、剣の振る舞いを披露する場に彼は同席する。

そこから彼の「斬る」サダメが幕を開ける。

市川雷蔵様が

まあ美しい。

同性でも惚れます。

そして三隅監督の精緻な引きの緊張構図とアップの切り返し

変わる風景ショットの流れる映像時間。

せわしい殺陣は無く、どこまでも空間に漂う人と剣。

シンプルな物語。

昨今ドラマで今なおご活躍される藤村志保さんの素晴らしい静動。

渚まゆみの堂々の立ち姿!

三隅監督の絵構図、緊迫、ショット鮮烈。

斬り合いなのに血も飛び出ない、むしろ美意識さえ感じる素晴らしさ。

雷蔵様の生き様に静かに喉突かれる思い!

ギョウギョウしくなく、ゆっくりとした台詞まわし。

エレピな旋律。

これぞ大映71分の悲しい娯楽が劇中の剣のように、

藤村さんの劇中笑顔のように僕の心を切り裂いた。

追伸
妹とじゃれる可愛い雷蔵様のシーン、なんか重そうです(冷笑)大映の時代劇は冷めたくて大好きです。

2009年6月レビュー
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