LalaーMukuーMerry

花よりもなほのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

花よりもなほ(2006年製作の映画)
3.8
仇討ちと言えば赤穂浪士の討ち入り(1702年)。この事件と微妙に繋がりがある、こんな仇討ち話も同じ頃ありましたというコメディ風の時代劇。(吉良の)御老人の寝入りを何十人もよってたかって襲うなんて卑怯にも程がある。あっちに比べりゃこっちの方がずっと立派、なんせ誰も死なないのだから・・・

剣術がからっきしダメで、寺子屋で読み書きを教えている武士(岡田准一)だからできた、ちょっと笑えるいい話。ホントに当時、仇討ちした者には藩から賞金が出てたのかな? 冷静に見方を変えてみると、賞金目当ての偽装仇討ちですがな、これあかんのとちゃう? などと野暮なことは言わないで笑って見逃そう。お笑い芸人がたくさん出てます。

(余談1)
同じ仇討ちが題材で、やはり結局は誰も死なないことは、この作品と共通するのですが、とても格調高い作品として「柘榴坂の仇討ち」をおススメしておきます。幕末から明治にかけて主君の仇を探し歩き、やっと見つけ出した時に仇討ち禁止令が出てしまった男の話です。男泣きする名作です。

(余談2)
江戸時代、仇討ちは法で認められ、実行するには届けが必要だったから(届けなしでやるとただの殺人犯)、奉行所の記録としてちゃんと残っているらしい。記録によると、仇討ちのほとんどは親の仇を討つもので、主君の仇討ちは稀だった。そしてこれら普通の仇討ちの他に、女敵討ち(めがたきうち)と言うのがあって、姦通をした妻とその姦通相手の男に対して仇討ちすることが認められていた。江戸時代も時代が下ると普通の仇討ちは数が減っていったが、女敵討ちは逆に増え、仇討ちの半分は女敵討ちになっていたらしい。明治に仇討ち禁止になってよかったね。