anzu

トーク・トゥ・ハーのanzuのレビュー・感想・評価

トーク・トゥ・ハー(2002年製作の映画)
4.0
凄いマニアックな作品…ずっとハラハラさせられて魅入ってしまった。

昏睡状態の相手に想いを寄せる2人の男性の対比。一方は彼女がいつか目覚めたら想いが通じ合うかもしれないという希望に満ち溢れ、もう一方は過去の生き生きとしていた彼女を思い出し、喪失感と絶望に陥る。

現実的な後者に比べて、前者は相手の意思表示がない中、愛を深めていると錯覚している。その狂愛というのか、一方的な想いを見ていると気持ち悪さと尊さの間というか…なんとも言い表せない感情になった。無償の愛だったら美しい形で終わるんだけど、そんなのじゃ終わらせない。

ペドロ・アルモドバルの作品は3作くらい観たんだけど、どの作品も色の使い方に品があって、美術館の作品を鑑賞しているよう。
今作は内容と視覚的な美のバランスが素晴らしくて、観終わった後の満足感がまた不思議でした。

ペドロ・アルモドバル監督の作品をもっと開拓したくなった。
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