メル

トーク・トゥ・ハーのメルのレビュー・感想・評価

トーク・トゥ・ハー(2002年製作の映画)
3.8
植物状態になった憧れの女性に毎日話しかけ、身の回りの世話を4年間尽くしている看護師の男。
同じ様に事故で意識が回復しない恋人に絶望して、話しかけることも出来ず唯側にいるだけの男。

この真逆の男ふたりが少しずつ親しくなっていくことで色々な愛の形が見えてくる。

登場人物の多くが報われない愛を抱え孤独感を漂わせているところがアルモドバル作品らしい。

植物状態の彼女を看護していた4年間が1番幸せだった…と若いハビエル・カマラ演じる青年は言う。このあまりにも不器用な生き方とあまりにも一方的な思考回路にこちらが苦しくなるくらいだ。生い立ちと環境から双方向の愛を経験してないというのもあるけど、この一方的な思考回路が彼の最後の決断をさせてしまったのだ。

一方、舞台のダンスを見ても、「ククルクク〜パ〜ロマ〜」を聞いてもやたらと泣く男、無声映画の縮む男など、何だか切ない男たちが沢山出て来るのもアルモドバル。

投獄された看護師は無実だと思う。
彼は嘘は言ってない。その辺を曖昧に終わらせているところが又憎いね。
世の中報われない人ばかりだよ、と言われてる気がする。

寝たきりの女性に血流を促す為にマッサージしてあげる時のしなやかな指先の映像が離れない。本人の指先だとしたらエステティシャン顔負け。ハビエル・カマラの役作り凄い!
メル

メル