こたつむり

トーク・トゥ・ハーのこたつむりのレビュー・感想・評価

トーク・トゥ・ハー(2002年製作の映画)
4.0
「言葉じゃ全ては伝わらない。
だけど、言葉じゃなければ分からない」

そうなのですよねえ。
「以心伝心」とか「目は口程に物を言う」とか。そんな言葉がありますが、多分に相手の想像力に委ねている部分があるわけで。やはり“話す”ことは重要なのです。少なくとも“話す”努力だけは怠ってはいけない、のです。

そして、本作のタイトルは。
直訳すれば「彼女と話す」。
コミュニケーションの重要性について真摯に描いた物語なのです。

…と思いきや。
いやいやいやいや、そこは我らが愛すべき“スペインの変態”アルモドバル監督。ストンと。もう、ストンと落としてきますよ。それは、往年の“大魔神”佐々木主浩選手のフォークボール並み。キレが半端じゃないのです。

そして、観ている側に問い掛けてくるのです。
“純愛”は綺麗ですか?って。

脊髄反射的に応答すれば「綺麗」なのでしょう。シミひとつない表面は光を反射し、圧倒的な存在感で観る者を魅了するのです。しかし、それは“何も寄せ付けない”と同義。実は、自分以外のものを頑なに拒否しているのですな。そして、その頑なさは一歩間違えれば“過ち”を犯す可能性があるのです。

しかし、それは誰しもが持つ可能性。
自分ではまっすぐ歩いているつもりでも、気が付けば樹海の奥に迷い込んでいる可能性は…誰にも否定できないのです。だから、常日頃から周囲を確認するために誰かと“話す”ことは重要なのです。

まあ、そんなわけで。
キレた脚本とは本作のことを言うのでありましょう。鳩尾を叩くような重厚感と、監督の嗜好が如実に反映された世界観は、“唯一無二”の映像体験を与えてくれると思います。特に中盤の“特別セット”は、思わず「うほっ」と言ってしまうこと間違いなし。…人を選びますが(ぼそっ)。

それと、スペインの映画ですからね。
“美女の産地”と謳われるだけありますよ。特にレオノール・ワトリング当時26歳の肢体は…げふん、げふん。

あと、必聴なのは挿入歌。
サントラで聞き込みたいレベルです。
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