takanoひねもすのたり

トーク・トゥ・ハーのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

トーク・トゥ・ハー(2002年製作の映画)
3.8
再鑑賞。この映画を思い出す時、冒頭のピナ・バウシュによる「カフェ・ミュラー」幽霊のような彼女のダンスが頭に浮かびます。1度ステージを生で観たかった。

「オール・アバウト・マイ・マザー」が女性の作品ならこちらは男性の作品。
犯罪行為がファンタジーに描かれることが多い監督の作品において、この作品は看護士ベニグノの犯罪は露見し刑務所に収監されてしまいます。
愛と変態と倒錯をいつも通り独特の物語で描きながら、ベニグノとマルコという孤独な男二人の友情を編み込んでゆき、観客がベニグノを不快な犯罪者と切り捨ててもおかしくないところに一筋の救いを配置してあるのがなにか切ない。

ベニグノの身勝手な愛情に嫌悪感しか抱けなかった初見に比べて3回目は、彼のやったことは最低だけど彼女を目覚めさせたのは彼なんだろうと。
その事実を知らず絶望した彼に憐れみを覚えました。
個人的に複雑な感情を覚える印象深い作品です。