ケンヤム

母なる証明のケンヤムのレビュー・感想・評価

母なる証明(2009年製作の映画)
4.5
愛は最大の暴力である。
なんかの本でこんな言葉を読んだ気がするが、この言葉をよく表した映画であると思う。

この映画の場合の愛は、母から息子への暴力であり、母が自分自身へ向けた暴力にもなった。
それは母自身が息子に愛を向けているようで、結局は自分しか愛せていないという何よりの証明でもある。

私が私を愛するために、私から生まれたあなたはこうであらなければならない。私の息子であるあなたは、人殺しなんかであってはならない。
この映画の母の息子愛は、いつの間にか歪んで行ってしまったのだろう。

人間とはなんと滑稽なものだろうと思う。
愛は自己満足に過ぎない。結局は自分の都合のいい人を都合のいいようにしか愛せない。
そして、その愛がうまくいかなかったら記憶が無くなるツボに鍼を打って、踊って忘れるしかないのかもしれない。

それが嫌だったら、自分の都合の悪いところを含めて相手を愛するしかないのだと思う。
そうすることでしか、愛が暴力に変化することを止められない。

ラストシーンを見れただけで、この映画に出会えてよかった。
ケンヤム

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