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母なる証明のkonoesakutaのレビュー・感想・評価

母なる証明(2009年製作の映画)
4.0
オープニング。枯れた草原の中に女が踊りだす。無表情だったのに急に照れ隠しみたいに笑ったり直後に泣きそうになったり、正直怖い。

美しいテーマ曲と相まった微妙な空間の中で、私もカメラの場所にポツンと置き去りにされたような気になった。

直後のタイトル画面。ガツンとやられた。キムヘジャがこっちをガン見している。まさか目をあわせるとは思っていなかった。心の準備ができていなかった。多分彼女のベストクールショット。

愛する息子が殺人の疑いで捕まる。冤罪を訴え立ち上がる母のお話。

物語はコンパクトで完成度が高い。サスペンスの要素もいいし、ドラマとしての要素もいい。

ネタバレにならない程度に書くと、私は十分にミスリードされた。いくつものラストを想像して楽しめたし、納得がいく収束に連れていってもらった。それだけではなく、オープニングとエンディングに描かれた情緒に魅了されて「セリフに頼らない演出・演技のすばらしさ」について真剣に考えさせられた。伏線とはトリックやどんでん返しのためだけにあるのではないことも痛感させられた。正直全部の伏線には気づけていないだろうけど。

二人が演じた母と息子はどちらも最後まで目の離せない特別な存在だった。

韓国映画ならではの独特の人間描写も堪能させてもらった。

ボサノバが染みるほどはまっていた。

〈大幅推敲、再投稿〉