このレビューはネタバレを含みます
シングルマザーの母親、へジャは、知的障害を持つ一人息子トジュンの行末が気になってならない。ある日、街で女子高生が殺され、その犯人としてトジュンが逮捕される。息子の無実を信じるへジャは真犯人を探し始める。
オモニ（母親）の息子への狂気にも似た愛を、母親の極端な行動で描いていくところに、韓国の親子愛の背景を想像させる。韓国映画で描かれる典型的なオモニ（お母さん）は、愛情深く、子どもと共依存関係のように見られるケースが多い。
子どもを自分の庇護の元に置きたがる母親の姿（この場合はしょうがない）、知的障害を持つ息子が成人近くになったときの性。弱い友人の特性を利用して罪をなすりつける小狡い（小賢いともいうかも）友人。情報を噂のままに受け取り、検証しない人たち。日常生活の中で避けがちなもの、嫌悪感を抱くようなシーンを、とにもかくにも映像としてまざまざと突きつけてくるポン・ジュノ作品。清濁合わせのみ、どろどろと底知れぬ沼のようなシーンの連続に、不快かつ深い人間の業を感じずにはいられない。けれども、どこかほろっとくすっとするのはポンさん節か。
細かなところだけど、薬草を切るシーンの演出は怖くて思わず目を伏せてしまった。
始まりは終わりで、また次なる葛藤の始まりで。
ラストの鍼と踊るシーン、語らずと母の気持ちに入っていく。
ああ、映画館で映画を観たい！
