キッチー

ジャン・ルノワールの小間使の日記のキッチーのレビュー・感想・評価

3.8
この映画はジャン・ルノワール監督がアメリカに亡命中に作った映画なので、舞台はフランスですが英語の会話劇になっています。セレスティーヌを演じた主演のポーレット・ゴダールはチャップリンと事実婚だった人で映画「モダンタイムス」や「独裁者」にも出演していますが、この時は既に別れて共演のバージェス・メレディス(映画「ロッキー」ではトレーナー役を好演)と結婚していたようです。

さて、内容ですが...
主人公セレスティーヌは愛情より財産が大事と決めて男性を品定めしているしたたかな女性。
仕事先の御主人様ランデール氏やおとなりの落ち着きがないけどお金持ちのモージェ大尉(バージェス・メレディス)、そして身体の弱いお坊ちゃんジョルジュ・ランデール、野心家の執事ジョゼフ...に興味の対象が移っていきます。他にジョルジュを溺愛する母親や同僚の小間使いマリアンヌらが絡んで話が展開していきます。
そしてお祭りの日に物語が動くことに。果たしてセレスティーヌが選んだのは...?

セットの中で行われる会話劇のようなシーンが多いのですが、ポーレット・ゴダールが美しく、可愛い衣装も似合ってました。お祭りのシーンは楽しい雰囲気が表現されていて良かったです。
鳥を絞めるシーンや広場に集まった群衆にもみくちゃにされるシーン等で残酷な場面もありましたが、上手く処理していた印象でしたね。カメラワークが上手かった~。
没落していく貴族が未だに威張っている感じで、息子を家に引き留めるのに、小間使いや執事を駒のように使うランデール夫人とか、貴族に忠実に従うふりをして、心の中では馬鹿にしている執事とか、社会に対する風刺も入ってるような感じで面白かったです。

前に観たフレンチ・カン・カンとは全然違うジャンル(サスペンス)でしたが、楽しめました。ジャン・ルノワールは初期の作品の方も有名みたいなので、また、借りてこようと思います。


この監督は大好きな印象派の画家ルノワールの次男で、以前、渋谷でルノワール&ルノワール展をやっていて知りました。大好きな監督です。
キッチー

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