歩くチブ

ミセス・ダウトの歩くチブのレビュー・感想・評価

ミセス・ダウト(1993年製作の映画)
4.2
こうやって暑い日が続くとビールを飲みながらスカやレゲエが聴きたくなる、なるべく爆音で。
容赦ない日射しにさらされながら外で聴くボブマーリー。アスファルトからの照り返しに眩暈しながら、うねるようなリズムにあわせてゆらりゆらりと歩を進めては曲と曲の間に聞こえる蝉の鳴き声に夏を思い知らされる。
絞れるほど汗で濡れたTシャツを脱ぎ捨てて、溶けたアイスを冷凍庫にしまい、クーラーをガンガンに効かせた部屋でまたロックステディの音楽に酔いしれる。

仕事帰りはスティーリーダンを聴きながら家に帰る。これがまた夏の夜にぴったりなんだけど、特に疲れた日は缶ビールを片手にニールヤングやトムウェイツを聴いて酔いどれ男を演じたりもする。

雨の日はスティングのnothing like the sunを聴きながら帰りたくなる今日この頃。知り合いに勧められて好きになった柴田聡子がどうしても聴きたくてSpotifyを始めた今日この頃。
グローバーワシントンJr.の名盤mister magicを繰り返し聴くことと、ピロウズのアルバム、ランナーズハイを通勤時に聴くことに同じくらいの熱量を感じる今日この頃。

妻は娘を連れて今日から実家に里帰りをしている。また数日間の一人暮らしが始まった。

子供が生まれてから好きになった音楽がたくさんある。今まで苦手だった音楽も聴けるようになった。
自分自身何かが劇的に変化したわけではない。相変わらず不摂生だし、最近マックナゲット15ピースが安くて困っている。お陰さまでお腹は膨張を続けズボンのフックが閉まらない。
そんな状況でもロビンウィリアムズの映画は節目節目で観たくなる。

「初めて抱きあげた時からずっと子供の虜なんです」
「子供を子供扱いしないこと」

要所要所で出てくる台詞に強く共感してしまう。

妻とは喧嘩することもあるし、お互いに言い方がきつい時もある。近づく時もあれば、離れる時もある。でも結局は子供を中心に回っていて一度離れてもそこにまたおさまるを繰り返す。それがずっと続いていくならそれも悪くないと思う。家族が一緒にいられることほど幸せなことはないんだと寝る前にいつも思う。朝起きて、妻と娘の寝顔を見て死にたくないと思うし死なないでほしいと思う。

最近よく考える。
池袋の事故があってから尚更よく考える。

妻と初めて会った時から僕は彼女の虜だし、娘を初めて抱っこした時から僕は娘の虜だ。これだけは誰にも奪われてはいけない。

妻がとても気に入ったこの映画。
またいつか家族で観たい。
歩くチブ

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