奥田瑛二監督という時点で興味をもった。自身も刑事役で出演。主演は緒形拳。アパートの隣部屋で、母親に虐待され続けている幼女を見るに見かねて、連れ出してしまう孤独な老人を演じている。
連れ出す道すがらに出会う好青年に、松田翔太。しかし、なんと言っても、虐待を繰り返す鬼母役の高岡早紀の演技が憎たらしいこと、この上ない!つまり、うまい。
緒形拳演じる老人も、ただの好々爺かというと、そういうわけではなく、自身の子育てに大きなトラウトを抱えている、複雑な役どころ。旅館の一室の同じ布団のなかで、ついに心を開いた幼女の一言に涙を流すさまは、見ていて心が傷む。
なんとなくだが、この作品は、同じ緒形拳が最悪の父親を演じた『鬼畜』とセットで観ると面白いと、自分的には感じた。
安藤サクラが脚本に携わっている。