Tラモーン

遊星からの物体XのTラモーンのレビュー・感想・評価

遊星からの物体X(1982年製作の映画)
3.5
80年代SFパニックの金字塔にして、すんばらしいSFXで有名なやつをいよいよ。


1982年、南極。ノルウェー観測基地の隊員のヘリが1匹の犬を追いアメリカ観測基地へ現れる。ノルウェー観測隊員の犬に対する執拗な銃撃と手榴弾攻撃により負傷者が出たため、アメリカ観測隊はやむを得ずそのノルウェー観測隊員を射殺する。不審に思ったアメリカ観測隊のマグレディ(カート・ラッセル)たちがノルウェー観測基地の調査に向かうと、そこには無惨に殺された観測隊員たちの異様な焼死体だけが残されていた。


10万年前に南極に墜落した宇宙船から目覚めた「生きもの」が変異して人間を襲うという、今となっては王道のSFパニックホラー。

どんな生物にも姿を変えるその「生きもの」が仲間に混じっているかもしれない!という緊張感はなかなか。
「生きもの」が出てくる戦闘シーン以外は静かなシーンが多いのでいきなり出てくるとこは結構心臓に悪い。意外と1番びっくりしたのは血液検査のとこだったりする。

なによりCGの無い時代だからこそ、SFXを駆使した「生きもの」の造形が気持ち悪過ぎてたまんない。『エイリアン』のような洗練されたデザインではなく、とにかくぐちょぐちょのべちょべちょのグログロ。そこに犬の頭とか人間の顔がくっついてるんだから悪趣味この上ない。
蜘蛛みたいな足が生えたり、舌で這いずり回ったり、身体中からわけのわからん触手が出てきたり、それでいてとにかくヌメヌメしていて嫌〜な感じ。あの生物的な嫌悪感はCGじゃなかなか出ない。

そんなんが仲間に化けているかもしれない、しかも完全に閉ざされた南極基地で…。というシチュエーションを活かした、キャラクター同士の疑心暗鬼の腹の探り合いもサスペンス的に楽しめる。

なんだけど静と動の振り幅が大きくて、静かな場面を間延びして感じてしまったというか、ちょっと余計に感じるところもあって正直退屈に感じてしまった。

爆発オチもなんかちょっと雑だなぁ…。
まぁリアルの火薬の迫力は素敵なんですけど。

歴史的価値がある作品なのは充分理解してるので観ておいてよかったとは思うけど、やっぱり偉大なる先人は後々のスタンダードになってしまうから、なかなかフラットに観るのが難しいな。

あ、でも「生きもの」が最初に姿を現す犬のオリのシーン、他の犬たちがビビりまくって金網を破ってる演出は最高の恐怖描写だと思いました!
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