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遊星からの物体XのtjZeroのレビュー・感想・評価

遊星からの物体X(1982年製作の映画)
4.1
南極のアメリカ基地。
全滅したノルウェー隊から逃れてきた一匹の犬の体内には、地球外生物が宿っていた…。

ずっと避けてたんですよ、この映画。

なぜなら自分は、
① ホラーが苦手
なのに、
② ジョン・カーペンターは好き

…このふたつの矛盾した思いに左右から引っ張られて、身動きがとれないでいたのです。

ただまあ、いつまでも観ない訳にもいかないし、己の封印を解いて手を伸ばしてみました。

結果、面白かったッス。

グロテスクな描写もやり過ぎててむしろ、ゲラゲラ笑って楽しめました。

自分のような”ホラー門外漢”でも楽しめたのは、ミステリとしての面白さもあったからだと思います。

劇中のエイリアンが人間の内部にひそんでいるように、本作自体もホラーの皮をかぶったミステリの構造を持っています。

舞台となる南極の基地は、無線が通じず、狂気の隊員によりヘリや雪上車も破壊された隔絶の地。

これはもう、『そして誰もいなくなった』とか『オリエント急行殺人事件』みたいな究極の密室ミステリと言ってもいいでしょう。

屋敷への招待客や寝台列車の乗客の中に殺人鬼がまぎれているように、10名近くいる隊員の中にエイリアンがひそんでいるサスペンス。

「誰も信じられない」というミステリ的恐怖が、グロテスクなホラー・テイストにより増幅された面白さがあります。

エンニオ・モリコーネの不気味な音楽が盛り上げ、カーペンターのタイトな演出が引き締める…食わず嫌いしないでもっと早く観ときゃよかった、と思わされた1本でありました。