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地獄の黙示録のどーもキューブのネタバレレビュー・内容・結末

地獄の黙示録(1979年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

闇の奥へ、コッポラの戦場と大佐



カンヌ映画祭パルムドール受賞。
アカデミー撮影、音響賞受賞。
1979年147分、撮影ヴィットリオストラーロ。脚本ジョンミリアス。監督製作脚本音楽フランシスコッポラ。

自宅に確かベータビデオがあったはず。テレビ録画かダビングかわからず。

のちCICビクターVHSレンタルで初鑑賞。 最初の冒頭のシーンを強烈に記憶。ラストの爆撃クレジットも記憶していた(この表現をめぐりコッポラは追記したり、解説したりする事を文献で知る。)

戦争映画を見たというより、ムズい映画を見た、そしてどこか美しく酷い光景のロードムービーのような印象だった。

特別完全版は、見たけど失念、だが長かった印象。

そこで2016年「劇場公開版」が上映、37年ぶりの新たな再公開。

ここで私のお気に入り監督、コッポラおさらい。

気弱なうっとうしさを感じさせ、ついてくる若者ジェームズカーン、さまよう女、雨と車、初期傑作「雨のなかの女」廉価発売希望

その男ドン。コルレオーネオヤジのイタリア式マフィア。代表作三部作サーガ「ゴッドファーザー」

黄金に輝く貧と冨の若造達、とても「ゴッドファーザー」を撮りあげた監督が撮ったと思えないみずみずしさ「アウトサイダー」

ティムロスの迷路、俺は若いのか老いたのか?それは胡蝶の夢につきでコッポラ本来の難解作に戻ってきた「コッポラの胡蝶の夢」


大好きな映画監督です。

わがシネウインドに来る、1週間特別上映。館主から接客され緊張しましたが、見て参りました。




いやあ!なんかすっきりして、見やすかった、ていうのが第一印象!

そして、なんか体が軽くなったようなスピィリチャルな気分。

沢山のレビュー(特別版、劇場公開版2種類)を読み、wikiを読み、立花隆「解読「地獄の黙示録」」を走り読む。

1974年に「ゴッドファーザー2」、1979年本作、次作は毛色が違いすぎる私的スタジオゾエトロープスタジオミュージカルのような1982年「ワンフロムザハート」。

マーティンシーンの役は、まずハーヴェイカイテル画ハリウッド追放をうけるほどの干され具合があった事、また出演していたハリソンフォードも交渉していたが、チョイ役になりマーティンシーンになった背景。

ラリパッパでマーロンに拒否られた困惑児デニスホッパーの出演。

超高額ギャラで短期拘束で、わがままでイメージとほど遠い太め登場で脚本改変に苦慮したマーロンブランドン。

マーティンシーンの心臓発作。

俳優のトラブル多々を抱える背景。
撮影約1年。

編集に2年!!製作費約90億の当時破格の遅延含むずれこみ。

特別公開版より、よっぽどすっきりしている印象だった。

物語もある意味すっきりしているっちゃーしている感じに見えた。

いや、もちろんおかしな繋がり満載な編集なんだが。(フレデリックフォレストは、なんでラストいきなり化粧してんのよ!あんた!とか。ばっさりカットしているわけだが。)

戦争映画を見にいってるつもりなんだが、なんだか見終えると小難しい映画につままれたような心地よさすら感じたのは、前回鑑賞したときと鑑賞後、余韻時にそう感じた。

美しきリアルと不可解な詩を聞き惚れ、くたくたに疲れた我々がまさに闇の奥に押しやられた脳味噌体験だ。理解不能な精神体験のよう。

冒頭の素晴らしき残像に揺れる爆破とドアーズの終わりの曲

血だらけに泣きくずれるマーティンとカンフーポーズ。(コッポラがのせつつ実際泥酔でマジに鏡ガラスを割ったらしい、そこを急いで撮影したって!どんな撮影だよ。)

数多くの詩の引用、台詞改変

ジョンミリアスが下敷き元にしたヴェトナム戦争とは関係ない原作「闇の奥」

悩みに悩みまくり長引いて、現地で麻薬を吸い、混沌とした失敗現場でフラフラに伸ばしまくったラストシーン

明らかな失敗作品なんだけど、なんだか素晴らしい無茶苦茶さ。そんなふうにしかいいようない、みたことない戦争映画だ。 

わかりやすい戦争映画、ベトナム映画ならオリバーストーンを見れば良い。

本作のただならぬ魅力って、やはり
大失敗してぼろぼろに 

ガチンコに派手に失敗した戦争ポエジー映画をみているような気分ではないのか。

コッポラが本作を撮って、以降は抜け殻のような作品しか撮れなくなってしまった致命傷のような映画的傷のような作品に見える。

もともと「レインメーカー」のような作品も撮れるが、あえて撮らない。自覚している気がする。

後半の訳わからなさも、製作トラブルとして文献を読むとどこか納得できる。 
ほとばしるようなデニスホッパーの狂人カメラマン

太っちょに気高い詩をのたまうカーツマーロンブランドンわがまま大佐

ペイントしたマーティンシーン

ぶったぎる動物
夜、赤い現地人、音楽

ラストがやっぱり凄かった!

体がかるくなる、今までの戦地の右往左往のマッチョキルゴアロバートデュパル大佐を洗い流すかのよう、あなたの好きなロングボードは、夜の闇へはなたれかのようだ。

私には、また見終わった後ブルーレイで見直したいと思った。

この愛すべき失敗作にと思えた。



さて
コッポラが苦しんで生み出した映画の黙示録

わからりやすくありませんので、まず未見の方はご注意ください。

闇の奥へ、コッポラの戦場と大佐

ぜひ!どうぞ!

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