nana

地獄の黙示録のnanaのレビュー・感想・評価

地獄の黙示録(1979年製作の映画)
4.0
前編通して、これが本当にセットなのかと疑うくらいのクオリティ。
戦闘シーンはどれも本物みたいに迫力満点で面白かったです。この映画を作り上げたことに感服。

カーツ大佐を暗殺するため、ウィラード大尉一行が川を上っていくというのがこの映画の基本的な流れになっていますが、川を上るという行為によって、物語にどんどんと緊張感が膨れ上がっていく表現がとても上手い。終着点である大佐の築いた王国はまさに「地獄」そのものでした。

カーツ大佐演じるマーロン・ブランドの登場シーンは圧巻です。
たいへん静かな場面なのに、真っ暗な闇の中から浮かび上がってくる彼の顔には、静かな、でも圧倒的な存在感と気迫があり、画面全体から張り詰めた緊張感が漂います。コッポラは物語の軸となる人物に視聴者を引き込ませるのが上手いですね。


そしてカーツ大佐がウィラード大尉により斬殺されるシーンと、牛の斬殺シーンがリンクして、この物語自体に畳み掛けるように終焉を迎えさせている感じが、
ゴッドファーザーシリーズで、主人公が敵を大量粛清するのと対照的に、ある種宗教的な場面を同時進行で展開しているシーンに似たところを感じて、そこにコッポラの作品のこだわりを感じることができた気がします。とても印象的な演出でした。
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