Kogarath

地獄の黙示録のKogarathのレビュー・感想・評価

地獄の黙示録(1979年製作の映画)
4.5
現代の映画に慣れていると「これでCG無しってマジかよ…」と驚愕してしまう作品。轟音で飛ぶヘリ、乱射される機銃、そして木々を焼き尽くすナパーム弾。前半の迫力あるリアルな戦場描写は圧倒されるばかり。カメラワークも臨場感ありまくり。
そして出てくる軍人はキルゴア中佐をはじめ頭のネジが飛んだような人間ばかり。大義も着地点も見失ったベトナム戦争末期の泥沼感をまざまざと見せつけられる。
こんな戦場で生き残るには狂ってしまうしかないのか?それを掘り下げた後半もまた見応えがあった。
辿り着いた王国の、まさに地獄のような舞台セットも凄い。

比較的まともだと思っていたウィラード大尉が、川を上っていく過程でじわじわ精神が蝕まれていく演出が恐ろしい。そんな彼の狂気が顔をのぞかせるベトナム民間船での一幕はゾクっとした。

Wikiを見ると撮影も想像を絶する大変さだった模様。
撮影直後に降板するハーヴェイ・カイテル、わがまま放題のマーロン・ブランド、麻薬中毒のデニス・ホッパー、台風で崩壊するセット、心労で倒れるコッポラ…完成した作品にはこうした現場のカオスも反映されているのかもしれない。
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