吸血ギャング団とかを最近ようやく見たこともあって、侯孝賢の映画の構図もサイレント映画的に見えてしまうのだけど、特にこの作品はトニー・レオンの聾唖の設定を活かしてか字幕を使っていたりもするので他の作品以上にサイレント映画っぽい趣が所々で感じられる。
本編は台湾の戦後の状況とかよくわからないから100%理解できたとは言い難いけど、それでも2時間以上しっかり見続けられる構図や場面の力があるから、理解できなくとも素晴らしいと思えるのがとても良い。
侯孝賢の映画ってのは、シェストレムやシュトロハイムの映画がそうであるように、美しく芸術的な構図の映像が連なるだけで満足が得られることに自分に提示してくれるものばかりで嬉しくなる。
それにしてもふるさとや赤とんぼといった日本の童謡が流れる場面で何とも言えない気持ちにさせられると、自分が日本人であることを改めて自覚させられる。