TAK44マグナム

RIKI-OH/力王のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

RIKI-OH/力王(1991年製作の映画)
4.5
猿渡哲也のヴァイオレンスコミックを香港ゴールデン・ハーベストが実写映画化した、スーパー・ヴァイオレンス・スプラッター・アクション。
主演はルイス・ファン、共演にグロリア・イップ、シンシア・ラスター、特別出演で丹波哲郎。
ルイス・ファンの実の父親が悪の刑務主任役で親子共演をはたしていますが、この親子、似ていないなあ。親父の方はホンジャマカの石塚みたいな風貌。

近未来、資本主義国家では刑務所さえも民営化(J・ステイサムの「デスレース」と同じ設定)されていた。
恐るべき所長や四天王の元に管理された恐怖の刑務所に、力王と呼ばれる男が入所してくる。
超人的な怪力と気功術を誇る力王は、すぐに刑務主任に目をつけられ、四天王のひとりと戦うことになってしまうが・・・。

いや~、スゴイ!
あらゆる意味ですごすぎる怪作です!
昔、レンタルして観たことあったのですが、このたびDVDを安価で入手できた次第。
こんなにメチャクチャなバカ映画だったのかと、改めて香港映画のデタラメ具合を再認識しました。

力王や四天王たちが常軌を逸しているので、パンチは身体を貫通するわ、頭を殴れば脳みそが吹っ飛ぶわ(本物の豚の脳みそ使ったらしいです。ゲロゲロ~)、北斗の拳並みに暴力描写のインフレーションが大発生しております!
血糊の量が半端なく、カンフーアクションかと思って観てしまうと、自分の愚かな間違いにすぐに気づくことでしょう。
完全にこれはホラーDEATH!
直接的に人体が破壊される描写がバンバンでてきますし。
ものすごく作り物っぽい頭とか腹がボコーンと吹っ飛ぶ様は、好事家以外だと怒り出しても仕方ない不謹慎さ!
そして、その好事家でさえも失笑するしかないという(苦笑)
どちらかというと爽快なアクションはどこかへ置いてきて、グロさだけを強調した作風でして、鑑賞した猿渡哲也が気持ち悪くなってしまったほど(でも、あんたの描くマンガ自体、けっこうなグロさですが・・・)。
なので、アクション映画というわりに動きはみんなモッサリしてます。ルイス・ファンは大陸で3年間カンフーの修行をしたと豪語していますが、たった3年かよ!と思わずツッコミいれてしまいましたよ・・・。

気功によって怪人化する所長や、主任の義眼や義手、四天王の格好などビジュアル面では原作に忠実なのですが、肝心の基本設定は全然違います。
力王が超人である理由も、原作ではちゃんと未来人の子供だからという説明がありますが、本作では丹波哲郎が「おまえは子供の頃から牛並みの怪力だったなあ」とテキトーすぎる一言で済ませてしまうアバウトさ!
だから、なんで怪力なんだよ(苦笑)
その他にも、力王がどうして刑務所送りになったのかも原作からは大幅に変更されていたり、原作だと刑務所編は第一部にすぎないからか、これ一作で完結させるための設定の変更がかなりあります。

そして、本作最大の問題点が、とにかく説明不足すぎるという点であります。
というか、状況説明とかキャラの心情説明とかなんて要らんと決めつけているかのように、潔いほどストーリーがテキトー過ぎます。
アカデミー賞にテキトーな筋書き映画部門があったとしたら間違いなくオスカーをゲットできるでしょう!

冒頭に、ロウマーという冴えないオッサンが殺されてしまう場面があり、力王は怒りに震えて殺した相手を血祭にあげるのですが、力王とロウマーの交流なんて場面はまったくありません。なので、どうして力王がそこまでロウマーの死に悲しんだり怒ったりするのかが意味不明なんですな。
単に、力王が重度の正義漢という説明があるだけで、あとは野となれ山となれって感じで、こんなアホな脚本によくGOサインが出たなと思いますよ。

つまり、正義感あふれる(なにせ気功を世界平和のために習得したいと願うほどですから!)力王という超人が、なんだかわからないが悪いヤツがそこにいるのでぶち殺しまくるといった風に、割と複雑だった原作を極限まで単純化させたというわけですね。確かにわかりやすいと言えばわかりやすいですが、スプラッターなヴァイオレンスを除いたら何も残らないボンクラ度MAXな映画ですので、ぬるま湯のような邦画のアクションしかしらない方には心臓に悪いのでオススメ致しかねます。

異常なテンションで力王を演じたルイス・ファンは、「この映画ってポルノ以外ではじめて18禁になっちゃったんだよね~」と、嬉々として語るナイスガイなのですが、このあとも順調にキャリアを重ねて、ドニー・イェンの「イップマン」シリーズや「カンフージャングル」などにも出演を続けていますね。

中性的という原作の設定を活かした四天王の黄泉役はシンシア・ラスター。彼女は実は大島由加里というアクション派の女優さんで、生粋の日本人であり、シンシア・ラスターはアジア向けの芸名。
戦隊シリーズの「超電子バイオマン」に出演していたことで有名です。
本作では、火事をバックに力王と戦う場面で、熱で熱いのに水ぶくれができるまで耐えて演技しづけたという逸話が残っているほど一生懸命な女優さんで、別作品では撮影事故によって重傷を負うなどの不運も。それでも最近は日本でコメンテーターとして活躍しているみたいです。

特別出演の丹波哲郎は、ほんのチョイ役でしたが、変な存在感をよせばいいのに発揮。
ちなみに台詞は別人が吹き替えしております。
けれど、表情だけで醸し出すムードが異質で、さすがは大霊界な人ですね(苦笑)。

まあ、こんなにとんでもない怪作も珍しい。
ありとあらゆるクレーム上等な暴力のちゃんぽん鍋が楽しめるので、テンションがおかしい映画をお求めの好事家の方にのみオススメしておきましょう!
宇宙の果てまで突き抜けたような奇跡を笑いながらお楽しみください!

最後に、「力王」7大迷(珍)場面をご紹介しておきましょう!
知らないままに観て、クリアーな心のまま本作を楽しみたい方は、ネタバレになるかもしれませんのでスルーしてくださいね。


①特訓シーンが墓場! 力王に向かって墓石を投げつけて、破壊してみろ!と罰当たりなことをぬかす丹波哲郎!

②四天王ホイとの戦いで、敗北をさとったホイは最後の手段として自分で腹を掻っ捌き、「何するんだ!?」と近寄った力王の首に小腸を巻き付けて反撃!
ルイス・ファン曰く「古代中国で実際にあった戦術」と、信じられないことを言っております。マジか?

③恋人役のグロリア・イップとの回想デート!それまでの凄惨でどんよりした雰囲気から一転、ほんわかムードに!
そしてデート内容が飛行機やヘリのラジコンでキャッキャッ言いながら遊ぶという謎仕様!

④そんなに幸せだったのに、グロリア・イップが唐突に麻薬組織に拉致され、ぴょ~んと飛び降り自殺!
本当に、ぴょ~んと飛び降りて死ぬ。
一応、グロリア・イップってアイドル女優さんでしたよね・・・

⑤生き埋めにされた力王の上で、心配そうに徘徊する一匹の犬!・・・いや、そんな犬は今の今まで登場していませんでしたが・・・どなたのワンちゃんでしょうか?
そして、突然、地中から出現した四天王の蹴りで犬が真っ二つに!動物愛護団体さん~!ぬいぐるみのワンちゃんがぶち殺されましたよ~!

⑥「鉄拳」の平八みたいな髪がたの巨大怪人と化した所長がミンチマシーンに放り込まれる!
さすがの平八所長も哀れ、人間ミンチに!
ご丁寧に残された生首をかかげ、力王が勝利の雄たけびをあげる!
勝ち方がヤバいっすね。

⑦「みんな、ここを出るんだ!」と囚人たちを扇動する力王!
刑務所を覆う巨大な壁にいきなりパンチをくらわすと、なんと壁が崩壊!!喜びまくる囚人たち!
いや、だめでしょ、みんな一応は囚人なんだから・・・
そして、颯爽と出てゆく力王!
いや、それって堂々と脱獄しているだけじゃ・・・
というか、そんな簡単に壁を壊せるなら、最初っからそうしろよ!!


・・・他にも迷場面、珍場面がてんこ盛りですが、以上、とりあえず際立っておかしい7大場面でした~。


セルDVDにて