komo

下妻物語のkomoのレビュー・感想・評価

下妻物語(2004年製作の映画)
4.4
茨城県の下妻という畑地帯に住む桃子(深田恭子)は、ロリータファッションをこよなく愛する一匹狼。友だちがいなくても自分の信念を貫いてさえいれば満足だった。
服を買うお金欲しさに父親が作った高級ブランドのコピー品を売り捌こうとしていたところ、自宅に特攻スクーターに乗ったイカツイ女が乗り込んできてしまう。それは偽ブランド品目当てでやってきたレディース暴走族の一員・イチゴ(土屋アンナ)だった。
なぜかイチゴに懐かれてしまった桃子はドライにあしらうものの、無理やりパチンコに連れて行かれたり、ロリータファッションの店に連れ立ったりしているうちに異文化交流が深まってゆく。


10年以上ぶりに観たらやっぱり面白かった!邦画だとこの中島哲也監督が一番好きかも。
友だちが全くいないがなんら不幸を感じていない桃子が、見た目は怖く自分勝手だが人情に篤いイチゴを次第に必要としてゆくストーリー。
しかし決して、『友だちがいなくていいなんて、私は間違っていた』という尺度ではく。桃子の信念はイチゴに出会う以前も以後も少しも変わらず貫き通されていました。
終盤でイチゴが桃子のことを第三者に伝える時、『あいつはああやってひとりで立ってる』と言います。イチゴという親友ができても、桃子が自立して地に足つけていることは変わりないのです。
ひとりじゃいられないから誰かと手を取るというわけでもないし、誰かの手を取ったからと言って自分の中に弱さを見出す必要はないんですね。
イチゴは桃子とはまるで性質が違うけれど、桃子の強さを見抜き、敬意を表することができる女性でした。

私はファッションにあまり夢中になったことはないけれど、桃子が言う「お洋服を作るよりも、誰かが作ったお洋服を着ることの方が最高に贅沢で幸せ」という価値観はなんとなく共感できます。
『幸せ』という価値観ががんじがらめでないところに感銘を受けました。

真面目なレビューになってしまいましたが、ほぼコメディで全体的に突き抜けていて面白いです。人を選ぶかもしれませんが倦厭してる人にこそおすすめしてみたい!
小池栄子のレディース総統かっこ良すぎました…。
komo

komo