シネフィルmonk

三重スパイのシネフィルmonkのレビュー・感想・評価

三重スパイ(2003年製作の映画)
3.2
この作品は1930年代のパリで実際に起こったスパイ事件に着想を得たロメールの晩年の作品。第二次世界大戦中のフランスを舞台にヒトラー率いるナチス・ドイツの台頭と、共産主義思想のスターリンのソ連の諜報活動、スペイン内戦、独ソ不可侵条約締結など、大きな政治のうねりの中に挟まれたフランスの混乱期に焦点を当て、夫の行動に次第に不審を抱き始める妻の目線から描かれる。
ロシア帝政軍将校のフョードルはロシア革命後、ソ連反共産主義勢力の一人としてパリに亡命、亡命ロシア人協会で情報工作の仕事についていた。表向きはソ連の現体制思想を批判し、ナチスの残虐性を指摘する。妻はギリシャ出身で趣味の絵画などで隣人たちとも交流し、夫婦幸せに暮らしていた。しかし、戦況が進むに連れ、夫の隠された正体が明らかになり、やがてナチス、ソ連、フランス国内からも追及の手が夫婦に迫る…。映画の大半は室内を舞台に妻から見た夫の謎の行為をサスペンスタッチで描く。
シネフィルmonk

シネフィルmonk