踊る猫

エル・スールの踊る猫のレビュー・感想・評価

エル・スール(1982年製作の映画)
4.0
『ミツバチのささやき』を観た時にも思ったのだけれど、ビクトル・エリセは「光」を使うのが巧い監督だなと思った。それは逆に言えば「闇」を使うことが巧いということでもある。この映画では「闇」が重要な意味合いを持つ。部屋の中を満たす暗闇、映画館の暗闇等など……それはこの映画に文字通り独特の陰影をもたらし、人間の心理の「闇」を暗示させる。だからラスト・シーンで主人公が「南(エル・スール)」へと向かう場面、「光」に満たされた場所へと向かうことが示される終わり方はハッピー・エンドのようにも思われたのだがどうだろうか。『ミツバチのささやき』が少女期を素朴に描いたものなら、これは十代/若者を描いた作品のように思われる。点数は完全に好みの問題なので気にしないで観ていただきたい!
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