あや

エル・スールのあやのレビュー・感想・評価

エル・スール(1982年製作の映画)
4.1
母が父を呼ぶ声と犬の鳴き声で目が覚めたエストレリャは、もう父は二度と戻ってこないことを悟り静かに涙を流す。
そして幼い頃の父との思い出を振り返る。


「ミツバチのささやき」でも魅せられた光と影の魔法がここでも美しくかかっている。父が予知をする時に使っていた振り子を取り出す15歳のエストレリャが静かに涙を流すシーンはあまりの美しさに冒頭から心を奪われた。

子どもの時に知らなかった親の面を成長してから知ることは、あまり良いことばかりではないという少年少女の時に感じる心情が幼いエストレリャから15歳になって父と再会するシーンを通して描かれる。
幼い頃は謎だらけの父に惹かれたが、昔の恋人という過去に囚われ続けている父の姿は15歳のエストレリャにとってはどう映っていたのだろうか。
映画の中の時間はとてもゆっくりと、静かに流れていく。心の中にそっと閉まっておきたい作品だった。
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