スペイン内戦でフランコ政権が共和国に勝利したことで南北の格差が生まれ、思想の異なる祖父との口論が耐えない父は家族と寒村の北部“かもめの家”と呼ばれる郊外の一軒家に移り住む。
題名エル・スールは温暖な「南」を示すスペイン語で、少女から大人へ成長していく娘の視点から「南部」への関心、陰鬱で謎めいた父に他の女性の影が見えること、父親との関係性と別れなどが静寂な山村を舞台に情景豊かに描かれる。
寡作の監督で知られるエリセの単独長編第2作。本来約3時間の制作予定の半分近くカットされており、細部がわかりにくい点がある。「ミツバチのささやき」同様、少し評価の分かれる作品かもー。