次郎

エル・スールの次郎のレビュー・感想・評価

エル・スール(1982年製作の映画)
4.6
光と闇の魔術師とでも言うべき、ひたすらに感嘆させられる映像の美しさ。反復する暗闇から浮かび上がる人物のショット、往復するカメラワーク、循環していく演出が織り成す世界は蠱惑的とすら言えるほどで、ちょっと一度見ただけでは本作の価値を測れる気がしない。

神秘と現実、北と南、登場人物の対比などの構造を巧みに用いながら、少女の成長に寄り添った物語。制作されながらも上映されるこのなかった後半部の物語への妄想も含め、鑑賞後の余韻に浸る心地良さが震えるほどに素晴らしい。
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