チャップリン式戦争映画。
"戦争映画"と入れてググってみると代表的な戦争映画よりも本作の方が製作(1918)が古い。『西部戦線異常なし』が1930年である。戦争映画は喜劇から始まった。
しがない歩兵が戦場で大活躍し英雄になる話だが、意外に戦争批判というニュアンスはじんわりと来る程度でコメディの味が勝っている。
反戦主義者であるチャップリンが完成後、本作を気に入らなかったのはその辺りなのでは無いだろうか。
ちょっと思い出しただけでも『西部戦線異常なし』『突撃』(1957)『戦火の馬』(2011)『1917命をかけた伝令』(2019)なんかが直ぐに頭に浮かんで来る戦争映画に付き物の塹壕のシーン。
最前線で砲弾が飛び交う生と死を分けるこの場所を笑いの舞台にしてしまい極上の笑いを散りばめている。
大局的な視点ではなく戦場における一人の歩兵に起きる局所を描くことで間接的に戦争の愚かさが浮かび上がっては来るが局所の笑いの方が強すぎる。
チャップリンは「人生はクローズアップで見れば悲劇、引いて見れば喜劇」と言ったが本作を観る限り逆ではないだろうか。