ひでやん

担え銃/チャップリンの兵隊さんのひでやんのレビュー・感想・評価

3.9
第一次大戦下の最前線を舞台に、おっちょこちょいの新兵チャーリーが巻き起こす戦争喜劇。

前線に沿って掘った塹壕を拠点に、両陣営が砲弾や銃で攻撃するが、残酷な描写は皆無。塹壕という非日常的な暮らしに焦点が置かれ、雨で水浸しとなる悲劇の中に喜劇を描く。

戦友に届いた家族からの手紙を覗き見し、自分の事のように喜ぶチャーリー。敵陣へチーズ砲を放ち、敵の砲弾で煙草に火を点けるチャーリー。

戦場という過酷な状況の中にギャグを連発する彼は、戦争なんて人間の愚行だと茶化しているようだ。

決死隊の一員となったチャーリーは、木に化けて敵陣へ乗り込み、「木を隠すなら森の中」という言葉を喜劇で見せてくれる。

木に化け、ドイツ兵に化け、捕虜となった戦友の救出と敵陣からの脱出に孤軍奮闘する姿は愉快。

チャーリーが敵陣を小銃で狙撃して、塹壕の壁にスコアを書き込む場面があるが、決して🔷死🔷を画面に入れない。スクリーン上、一滴の♦️血♦️も流さずに戦争を終結させるチャーリー。ラストで反戦思想を滲ませ、ちゃんとオチをつけるのは流石。
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