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名もなく貧しく美しくのdrgnsのレビュー・感想・評価

名もなく貧しく美しく(1961年製作の映画)
3.9
時代的にも環境的にも苦難の多いなか、慎ましくとも幸せな生活を送ろうと努力する夫婦の姿が美しい。作中、ああ耳が不自由だとこんな時に不便なのか、と思う場面が何度もあって色々気付かされました。

秋子と道夫が手話で話すシーンは街の喧騒が消え、静かな音楽が流れて、耳の聞こえない2人の世界に入り込んだような不思議な感覚に。手先の動きがとても優美で、字幕のフォントも味があって素敵だった。特に列車のシーンは稀代の名場面だと思う。

戦後の街並みや生活が段々変わっていく様子もわかりやくてよかった。あと個人的には秋子の母親が好き。彼女もかなりの苦労人なのに前向きで働き者で素晴らしい。なのに弟はどうしてああなった…

ラストは只々辛い。内容がハードだっただけに別の終わり方を観たかったなぁ
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