おはる

フランキー・ワイルドの素晴らしき世界のおはるのレビュー・感想・評価

3.9
「俺はリリカルな鍛冶屋だ」
クラブ・ミュージックの聖地イビサで伝説となった"DEAF DJ"フランキー・ワイルド。彼の天国と地獄、そして復活を描いたドキュメンタリー…じゃなくてモキュメンタリー。

天才DJとして名声を欲しいままにしたフランキー。ゲロ、ヨダレ、鼻水あらゆる汁を撒き散らし音楽、クスリ、酒、女に狂った酒池肉林の日々だったが、長年のDJ生活がたたり聴覚を失ってしまう。その後はキャリア、妻と子、友人までも失い地獄の苦しみを味わうことになるが、読唇術の先生ペネロペとの出会い、そして残された感覚で音を捉える方法を見出した時、ついに彼の復活劇が幕を上げる。

んな出来すぎた話が現実にあってたまるか!ってなるようなストーリーだけども、観てる人をそんな風にシラけさせないためのあえてのモキュメンタリーだったりして。フランキー・ワイルドに実在感を与える演出みたいな。
とはいえ、そんな王道ストーリーだからこそラスト近くで再びDJブースに立ってレコードを回しパリピどもを熱狂させる姿にアガるのも事実。そして音楽を題材とした映画だけあって使われる音楽がみなカッコいいのも素晴らしい。ただ彼が一躍有名になったという曲とPVはギャグか何かと思うほどの絶妙なダサさだったが。

「金の匂いを感じた」「人は出来のいい悲劇を好む」「ズバリ障害が好きなんだ 情に訴えるからね」とかあけすけに本音をインタビューで語っちゃうレコード会社の社員がなかなかいい味を出していた。
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